地球温暖化対策は今、世界的レベルで化石燃料消費のあり方を問う形で検討が重ねられている。
「いかにしたら、
CO2排出量を抑えることができるか」という共通テーマで様々な対策や方策が
模索されている。イメーションが提唱する
MLCMでは、メディア活用の最終段階であるメディア
廃棄ステップで「データ消去安心サービス」を提案しているが、ここでは、
CO2の排出を抑制す
ると期待されるカーボンオフセットの本格導入が実現されている。
CO2相殺の考え方を聞いた(編集部)。

 

  日本では昨年から開始

 

 本誌 「カーボンオフセットとは何か」から伺えましたら・・。

 村上 最初に私ども有限責任中間法人日本カーボンオフセットという組織からですが、設立されました
のは
20077月ですが、実質的な事業を開始しましたのは9月のことです。

 事業内容は、組織名が示すとおり、カーボンオフセット(CO2の相殺取引)を推進することを第一義と
しております。

 この考え方は、2000年以前から英国を中心として欧米で拡がってきている考え方で、日本では弊社が先
駆的に手掛けてきており、既に
100を越える法人・団体の皆様が活動に加わって下さっています。

 先の洞爺湖サミットでも討議されたことであり、周知のことと思いますが、産業革命以降、化石燃料を
エネルギーとして使うことで急激に大気中の
CO2の量が増え、それが地球に温室効果をもたらしていると
指摘されています。

そこで、全世界規模でCO2削減を目指しているのが現状ですが、カーボンオフセット運動は、この運動
の一翼を担うものです。

皆さんご承知の「京都議定書」の背景もそうですが、こうした全地球規模でのCO2削減を目指し、最も
投資効率のよい場所で地球温暖化の元となっている温室効果ガスの削減を目指すというものです。

オフセットの仕組み

 

 本誌 CO2の相殺取引のメカニズムはどういうものでしょうか。

 村上 省エネ、すなわちエネルギーの効率的な利用がまず重要で、CO2削減の王道であることは間違い
ありませんが、技術開発やインフラの抜本的な転換には時間がかかることもあります。

 一方、温暖化への対策は待ったなしです。すなわちスピードが大事です。そうしたときにカーボンオフ
セットは、即効性のある削減手段として大きな意味がある、というのがカーボンオフセットの趣旨です。

そこで、発展途上国における省エネ支援事業、自然エネルギー事業など、国連が認証した温室効果ガス削
減プロジェクトから得られる「認証済排出削減量」としての
CO2排出権を、私どもCOJが予め確保して
おき、日本国内で排出された
CO2とをオフセット(相殺)することで、地球全体のCO2削減を目指してお
ります。

本誌 そもそも、COJが確保しているCO2排出権とは、どういう形で形成されるものですか。

村上 何もしないで大気中に放出されてしまうCO2の量と、様々な方法で削減努力をした結果排出され
CO2の量との差違が「排出権」として認められます。

ちなみに、COJがオフセット事業に活用している排出権は、国連の京都議定書の目標達成に貢献できる
「クリーン開発メカニズム(
CDM)事業」から生み出されたものです。

 

国の目標達成に貢献する運動

 

本誌 国連がこれまでに認定しているCDM事業は、どれくらいあるのですか。

村上 申請中も含め、すでに1300事業ほどあります。省エネ事業ならば何でも認定されるというもので
はなく、非常に厳しい審査が国連の
CDM委員会によって実施されています。

本誌 COJは、そうした事業から排出権を仕入れる窓口機能を果たしているのですね。
 村上 その通りです。

会員としてCOJに参画したあと、各社とともに「カーボンオフセット商品・サービス」を企画検討し、実
行します。企業は、カーボンオフセット商品で約束しただけの
CO2相殺を行う必要がありますので、それを
COJに委託します。COJは、そのCO2量を打ち消すに足るだけの排出権を調達し、その企画分として割り当
てます。排出権を割り当てた後、その排出権が間違いなくその企画のオフセットに用いられたということを
確定させるために(他のことに転用しないように)、国の排出口座に移転させます。ここにおいてカーボン
オフセット完了です。そのような仕組みになっています。
  本誌 オフセットする際、どれだけのCO2を排出したかの確認はどのようにするのでしょうか。
  村上 電気・ガス・ガソリンなど、エネルギーそのものについては、単位当たり(1kwhとか1リットルと
か)の
CO2排出量が決まっています。これを排出係数といいます。

その一方、パソコンや携帯電話など、商品の製造過程で出るCO2量は、その製品を構成する部品や、その
原料となる素材の生成、完成品の運搬なども含めて要素を分解して計算する必要があります。

こうした手法をLCA手法によるCO2算定と言います。LCAは、CO2のみならず、製品が含有する化学物質
の分析などにも広く用いられている手法で、一般的にそれを外部の者が検証することは困難ではないでしょ
うか。

本誌 CO2を排出していても、別に罰則規定があるわけではありませんし、COJの活動自体が善意によ
って支えられているものですからね。

村上 ご指摘の通りです。

排出権そのものは何度でも転売可能なものです。しかし、ある特定のCO2相殺に用いたら、二度と使えな
いように無効化するのがカーボンオフセットの特徴です。

私どもを通じて削減できたCO2量は、国に報告されます。そして日本が守るべき京都議定書の目標に算入
され、達成に貢献します。温暖化防止の個人や企業の行動がきちんと具体的な結果に直結する仕組みであるこ
とをご理解いただけたらと思います。